Quantum Families
2010年1月24日 23:53 | コメント(0) | トラックバック(0)|
東浩紀氏の初小説。(あ、モウラで連載してるやつだいぶ前から止まってますね。あれけっこう面白いのに)
一度さらっと読んで、むずかしくてようわからーんとなったのだけど、とりあえず現時点での感想を備忘録的に書いときます。
第一印象。筒井康隆っぽい。
読了してないのですが、パラレルユニバースネタとして、「夢の木坂分岐点」を彷彿とさせます。多分これだけだとジャンルとして確立もされていて、特に新鮮味はないのですが、実感としての「あったかもしれない別の人生」と、量子コンピューターによって生み出されるパラレルユニバースを重ねているところが面白いと思いましたです。
年を取ってだんだん自分にがっかりしてくると(多分してなくても)、別の人生というか、「あのとき取れた別の選択肢とその先にあったであろう可能性」に思いを馳せるようになります。ストーリーの上でそういう下地作りをしているから、量子コンピューターとか、自分の世界では生まれなかった子供とかが出てきても結構すんなり受け入れられます。
村上春樹氏を引用していたのはちょっとびっくりしました。まあでも春樹も二つの世界が関係しあって一つの物語を編んで行く、みたいなストーリーをよく書きますものね。でも春樹のばやいは、二つの世界は平行ではないなあ。あっちの世界とこっちの世界というか、あっちの出来事がこっちに現実として投影される、みたいな感じですよね。ねじまき鳥とか。
対して、クオンタム・ファミリーズのふたつだかみっつだかの世界は、あくまで可能性論として展開できるところに特徴と魅力がある気がします。
ポストモダンとか脱構築とか論じていた人が、小説を書くってすごくやりづらいんだろうなとおもいきや、結構さらっと「氷の柱を背中にいれられたよう」とかベタな表現を使うのだなと思いました。ああ、でもこれも確信犯的にわざとベタにしてるのかもですね。
ストーリーが開始される前に、資料としていくつかの文章が示されています。(こちらも小説の一部ですけど)個人的には、こういう資料だけがだーっと羅列されていて、読者がそれをパズルピースみたくはめてく小説を読んでみたいです。東氏の文章は、こういう記事っぽい書き方をしている時がもっとも魅力的に感じられるので。
SFって過去のジャンルというイメージでしたが、そこにあらたな一石を投じる作品になりそうです。
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